こんにちは、池田登です。
私がカウンセリングをしながら脳科学に興味を持ち始めた頃、心理の動きを
脳の働きに置き換えながら整理した「脳のトリック」という資料があります。
頭では分かっているのに、なかなかうまく行動できないことってよくありますよね?
いろんな情報を得て、自分を分析したり相手を理解したりして
「これでうまくいくぞ!」
と思ったのに、急に不安になったり怖くなったり…
なぜ、そうなってしまうのでしょう?
脳は変わることにすごく臆病です。
いい事とは分かっていても、無意識にいつもの慣れたほうを選んでしまいます。
いつもの慣れている方法=安心・安全なのです。
脳は持ち主である自分すらだましていろんな方法で変わることを避けようとします。
でも、誤解しないでください!
脳は決して私たちを困らせようとしているのではなくむしろ守ろうとしてトリックを仕掛けているのです。
今回はその入り口、脳のことについて少しお話ししたいと思います。
脳は大きく分けて3層に分かれています。
一番深いところあるトカゲ脳は生きていくために必要な働きの多くをカバーしています。意識しなくても心臓が動き、息をして生きていけるのもトカゲ脳のおかげです。
その上には感情が生まれる大脳辺縁系。
そして一番外側に人間だけが発達させた脳、大脳新皮質があります。ここには前頭葉など客観性や情報収集、計画や総合的な判断力など人間らしい働きをする部分があります。
トカゲ脳や大脳辺縁系など動物にもある脳を「古い脳」(トラウマはここに入っていると言われています)
ヒトだけが持っている大脳新皮質を「新しい脳」と呼ん出ますが、この2つの脳の間でいろんな葛藤が起こります。
古い脳は生き延びること、新しい脳は人間らしく幸せに生きることを考えています。
もっと言えば、古い脳にとっては幸せなんかよりも生き延びることの方が大事なのです。
なので、2つの脳の思惑が一致しなくなると
「分かっているけど…できない。」
ということになり、ほぼ古い脳のほうが勝ってしまいます。
生き延びることが最優先だからですね。
周りから見て「ここを変わればいいのになあ」と思うことでも本人は気づいていないということ、よくありませんか?
人のことはよく分かるのに、自分のことは…なんてこともよくある話です。
脳は小さい頃からの経験で、自分を守る方法を身につけていきますが、時々思い込みでうまく行かない方法を取り入れていることがあります。
その最たるものは「トラウマ」です。
自分を守ろうとするあまり、人に近づかなかったり、感情を表に出さなかったり、人を信じきれなかったりすることがありますが、
すべて自分を守ろうとしてのことなのです。
自分の脳が自分をだますなんて面白いですよね。でも自分を守るために必死になっているなんて何だかかわいく思えてしまいます。
これからも時々脳が仕掛けるトリックについて
お話していこうと思います。
お楽しみに!
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