給食が食べられない小学6年生女の子
Uちゃんはご両親とお兄さんの4人家族の元気な女の子です。
平成28年4月、小学校に入学して間もなく熊本地震を経験。体育館での避難生活や祖父母宅での生活を2ヶ月ほど体験し学校も休校が続きました。
何とか学校が始まりまだまだ気持ちも不安定な中、給食が進まずにいたところ担任の50代の先生から叱られてしまったのです。
それから毎日給食の時間に早く食べるようにと指導され、給食を無理やり口に押し込み、特に苦手なパンなどはこっそりと持ち帰るようになりました。
家では普通に食べられるのに、と心配したお母さんが校長先生に相談したことで、担任の先生の指導は緩和されましたが、それでも給食に対する苦手意識は改善されず、2年3年と学年が進む間、悩みながらもなんとか過ごしていました。
6年生になりUちゃん自身がこの悩みを克服したいと強く思うようになり、おばあちゃんに相談しました。Uちゃんのおばあちゃんは以前から池田のことをご存じで、カウンセリングの話を聞いていたのです。
今年の10月末、Uちゃんはお母さんおばあちゃんと池田のところにやってきました。
いつもはお母さんに一緒にいてもらいたがるUちゃんですが、池田が尋ねると一人で大丈夫だと言ってカウンセリングを受けました。
15分ほど別室で待っていたお母さんとおばあちゃんが呼ばれ、「治ったよ」と言われたとたん、びっくりして3人で涙を流されていました。
次の週からの給食は最初はまだ不安もあったようですが、うまくいくような気がするとUちゃん自身は言っていたようです。
「私は12歳です。休職も大丈夫です。」怒られて怖かった小さなUちゃんではなく今の12歳「今ここ」を意識することで、すんなりと食べられるようになったそうです。
それどころか給食が美味しく感じられ、苦手だったパンも味がしたそうです。
ひと月経った頃にはパンを持ち帰ることもないそうです。
おばあちゃんたちが心配していた修学旅行も元気に参加し、みんなとの食事も楽しくできたそうです。
6歳の頃の心の傷がすっかり癒され、長年苦しんだ悩みも消えていったそうです。
※Uちゃんが受けたカウンセリングの中で行なったのは「再決断療法」と「セルフリペアレンティング」という心理療法です。
給食を食べられないで叱られていた1年生の時の体験を今ここで起こっていることとして再現し、叱られている場面でセラピストが介入し助けます。
時間の概念がない古い脳には「叱られているときに助けてもらった」という体験とポジティブな感情が上書きされるのです。
再決断療法で作られた脳のネットワークを補強してくれるのがセルフリペアレンティング「自己再養育」です。今の年齢の自分がきず自分の中にいる傷ついた小さな自分を育てなおすものです。Uちゃんの場合は給食を食べる時「私はもう12歳です。給食も大丈夫です。」と心の中で唱えてもらいました。自分の実年齢を意識することで、「今ここ」の前頭葉にエネルギーが集中し、客観的に問題に向かうことができるようになるのです。