こんにちは!HP管理人のシオです。
初めてご相談に来られる方から、よく
「(カウンセリングは)保険が使えますか?」
という質問をいただきます。
結論から申し上げますと、民間のカウンセリングはすべて自費(自由診療)となります。それどころか医療機関であっても、カウンセリングが保険適用になることは非常に限られているというのが現状です。
では、なぜカウンセリングは保険適用にならないのでしょうか?
詳しく解説していきます!
保険適用の条件
科学的根拠があること
カウンセリングが医療保険の対象になるためには、まず「有効性が科学的に証明されていること」が前提になります。いわゆるエビデンス・ベーストの医療として、効果が統計的に確認されている療法のみが候補となります。認知行動療法(CBT)がその代表で、うつ病や不安障害など特定の疾患に対して効果があると数多くの研究で示されています。そのため、CBTは他の心理療法と区別されて保険収載されました。逆にそれ以外の心理療法は、あまり制度化されていません(一応、標準型精神分析療法という項目は作られています)。
診断名があること
自由な相談や悩み事へのカウンセリングでは保険は適用されません。あくまで「疾患」として診断される必要があります。例えば「うつ病」「パニック障害」といった、ICDやDSMなどの国際的な診断基準に基づいた診断名がついた場合のみ、医療行為としてカウントされるのです。つまり、悩み相談や人生相談は保険では扱えず、医学的な病気の治療に位置づけられるものに限定されます。例えば認知行動療法(CBT)については、
- 気分障害(うつ病等)
- 強迫性障害(OCD)
- 社交不安障害(社会不安症)
- パニック障害
- 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
- 神経性過食症
のみが保険適用の対象となっています。
医療機関の体制要件を満たしていること
次に重要なのは、提供する側の体制です。どのクリニックでも簡単に保険でCBTを行えるわけではありません。たとえば「認知行動療法研修を修了した医師やスタッフが配置されていること」「一定回数以上のセッションを行える体制があること」など、厚生労働省が定めた要件を満たす必要があります。これにより、質の担保や安全性が確保されるようになっています。
医師が行うこと
さらに、日本の制度では「医師が関与する」ことが条件になります。心理士やカウンセラーが単独で実施するものは、原則として保険対象にはなりません。実際には臨床心理士や公認心理師がセッションを担当するケースも多いのですが、必ず医師の診察と管理のもとで行われる形になっています。これは、医療保険制度が「医師主導の医療行為」を前提に組み立てられているためです。
厚生労働省のマニュアルに従うこと
そのうえ細かい条件として、実施方法や回数、発言内容について厚生労働省が定めたマニュアルに従う必要があります。たとえば認知行動療法では、1回あたりの時間、最大の回数、記録の方法などが細かく規定されています。この基準に従って実施されて初めて保険請求が可能になります。つまり、自由度の高いカウンセリングというよりも、手続き的で標準化された心理療法が対象となっているのです。
その他の条件
そのほかにも、患者本人の同意を得ていること、入院中ではないこと、医師の診察と組み合わせて行うことなどが条件になります。これらの制約は、制度としての透明性と費用対効果を意識した結果といえます。詳しくはこちらのサイトをご確認ください。
認知療法・認知行動療法 | 今日の臨床サポート
医療機関で保険適用が進まない原因
保険適用できる条件のハードル
「病院やクリニックに行けば、保険を使ってカウンセリングが受けられるのでは?」と考える方は多いと思います。しかし実際には、多くの医療機関ではカウンセリングが自由診療になっています。その理由は、制度上の障壁にあります。
まず第一に、保険適用が認められている心理療法がごく限られているという点があります。認知行動療法(CBT)のように、科学的根拠が確立され、厚生労働省がマニュアルを用意しているものだけが対象です。しかも、うつ病や不安障害など一部の診断に限られ、対象疾患はとても狭いのが現状です。
次に、実施できる医療機関が限られているという問題があります。保険適用のカウンセリングを行うには、医師が所定の研修を受けていることや、医療機関として届け出をしていることが必要です。つまり「やりたい」と思っても、体制が整っていなければ保険請求ができないのです。
診療報酬体系の構造的な問題
また、報酬体系の問題もあります。カウンセリングの診療報酬は、医師の診察や薬物療法と比べて単価が低めに設定されています。
例えば、認知行動療法(CBT)などのカウンセリングは、1回あたり30分以上で数千円程度の診療報酬にとどまります。ところが、医師の外来診察や薬物治療は10分程度でも算定でき、1日に多くの患者を診ることが可能です。つまり、同じ時間を使っても、カウンセリングは医療機関にとって収益性が低いのです。
医療機関側からすると、限られた人員や時間をカウンセリングに割いても経営的に成り立ちにくいという現実があります。そのため「需要はあるけれど、制度と報酬の壁があって提供しにくい」という矛盾が生じてしまうのです。実際に、有識者からのヒアリング調査では、「現状の保険診療点数では認知行動療法を実施しても医療機関として採算が取れない」という意見が上がっています。
このため、多くの医療機関では、薬物療法や短時間の診察に比べてカウンセリングは優先度が下がってしまうのが実情です。制度上は保険適用が認められていても、報酬の仕組みそのものが普及の妨げになっているといえるでしょう。
診療報酬制度の改善案
このような問題に対し、日本医療政策機構によるヒアリングでは、
認知行動療法は、病気や症状の重さによって効果に差があります。そこで、効果が高いと考えられる場合は、診療報酬の点数を高めに設定してはどうでしょうか。
また、複数の病気が重なっているなど症状が複雑な場合は、現場ではより慎重で丁寧な対応が必要になり、通常よりも時間がかかったり、多職種でのサポートが必要になったりします。
そのようなケースでは、現場が対応しやすいように、個別に加算(追加報酬)を認める仕組みを整えることも検討してはどうでしょうか。
薬が使いにくい人――たとえば子どもや妊婦さん、薬が効きにくい症状がある人など――に対しては、認知行動療法の診療報酬を高めに設定してはどうでしょうか。
特に子どもの医療は収益が少なく、精神療法を取り入れるのが難しい現状があります。
症状に応じて、認知行動療法と薬の治療をセットにして診療報酬を計算できるようにしてはどうでしょうか。
認知行動療法などの精神療法を多く行っている施設や、認知行動療法の研修を受けたスタッフがいる施設を、高く評価してはどうでしょうか。
「摂食障害に対する認知行動療法 CBT-E 簡易マニュアル」では、半年間で初回を含め21回、開始前の評価や終了後約5か月後の再検討を入れると23回のセッションを行うことになっています。
しかし診療報酬では、現在16回までしか算定できません。
マニュアルで推奨されている回数まで保険で算定できるようにすべきではないでしょうか。
と言った数々の改善のためのアイデアが寄せられており、現行制度の改善が期待されています。
あなたに合う場を見つけるために
ではここからは、保険適用の有無や実施主体ごとに、心理支援の特徴を比べてみましょう。
カウンセリングを受ける場には、ざっくり分けて4つのタイプがあります。
①保険適用のカウンセリングを提供する医療機関
②保険は効かないが医療機関内で実施される自費カウンセリング
③自治体や公的機関の心理相談(臨床心理士・公認心理師が対応)
④心理士・カウンセラーによる民間の相談サービス
保険適用のカウンセリング(医療機関)
メリット
- 保険が使えるため費用が大幅に抑えられます(1回数千円程度)。
- 医師による診断・薬物療法との連携がしやすく、医学的リスクがある場合も安心です。
デメリット
- 実施できる医療機関が限られ、予約が取りにくいのが現状です。
- 30分以上・最大16回など条件が細かく、柔軟な回数調整ができません。
- 内容は厚労省マニュアル準拠の認知行動療法にほぼ限定されます。
自費のカウンセリング(医療機関内)
メリット
- 医師の診断や投薬と並行しつつ、時間・回数を自由に設定できます。
- 医療機関の管理下にあり、急な体調変化にも対応可能です。
デメリット
- 保険が効かないため1回5,000円〜1万円以上が一般的。
- 実施できる人材が限られ、都市部偏在があります。
公的な心理相談(自治体・学校など)
メリット
- 市区町村の保健センター、スクールカウンセラー、精神保健福祉センターなど、無料〜低料金で利用できます。
- 経済的負担が少なく、初期相談や情報提供に向いています。
デメリット
- 相談時間が短く(30分程度)、回数制限があることが多いです。
- 治療目的というよりも一時的な支援や情報提供が中心となっています。
民間の心理相談
メリット
- 自分に合った専門領域(家族療法、トラウマケアなど)を自由に選べます。
- オンライン対応や夜間・休日など柔軟なスケジュールが取りやすいです。
- 国家資格(公認心理師)に限らず、経験豊富なカウンセラーも選択肢に入ります。
デメリット
- 保険は使えず、1回5,000〜1万5,000円程度が多いです。
- 資格や経験のばらつきが大きく、利用者自身が見極める必要があります。
価値観とすり合わせた判断を
「医学的リスクがあり治療の一部として受けたいなら保険適用」「柔軟さや専門性を重視するなら民間」「コストを抑えてまず相談したいなら公的機関」など、自分が何を優先するかによって最適な選択肢は変わってきます。
もしじっくり比較検討したうえで、90分の自由な相談や、半世紀の臨床経験に基づいたカウンセリング、とにかく結果を出すための相談を探している方は、当事務所でのご相談も検討してみてください。
初回のご相談だけでも構いません。あなたに合ったサポートを一緒に考えていければと思います。


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