どんな人も、生きる価値がある

どんな人も、生きる価値がある

人は誰でもOKである

私たちは、人は誰でもOKであると考えています。
たとえ過ちを犯しても、結果を出せなくても、孤独に陥っても――その人の存在自体は否定されるべきではない。
それが、私たちのカウンセリングの根本にある考え方です。

「人は誰でもOKである」という言葉は、優しさや慰めのように聞こえるかもしれません。
しかしこれは、単なる理想論ではなく、人間の脳と心のしくみに基づいた現実的な回復の法則です。

性善説の家庭と性悪説の家庭 ― 家の中に「安全」があるか

人は誰でもOKである、つまり「性善説」を信じている家庭では、子どもは安心の中で自分の感情を表現し、自分で考える力を育てることができます。

一方で、「人は放っておくと悪くなる」と信じている性悪説の家庭では、子どもに対して体罰や過剰な管理が行われることがあります。
宗教的な文化の中には、子どもが悪いことをしたときに鞭でたたくというしつけが今でも残っています。その結果、心の中に「自分は悪い存在だ」「人は信用できない」という前提が刻み込まれてしまいます。

実際、アメリカの連続殺人犯の多くは、白人であり、子どもの頃に性的虐待を受けているという共通点があります。つまり、性悪説を強く信じる文化の中では、家庭が「安全な場所」ではなくなってしまうのです。

家庭でのこの「安全でなかった環境」は、のちに社会にも反映されます。
家庭でいつもおびえていた人は、職場でも周囲を気にして萎縮してしまう。
逆に、「人は誰でもOK」と信じて育った人は、社会でも人を信じる力を持っています。

家庭の安全が、社会の安全をつくる――私達はそう考えています。

人間の脳は「安全」の中でしか開かれない

人間の脳は、危険を感じるとまず“防衛”を優先します。
たとえば、恐怖・不安・ストレスを感じると、感情をつかさどる「扁桃体」がすぐに反応して、体を緊張させたり、心拍数を上げたりします。これは「身を守るための反応」で、脳が「今は考えるよりも逃げる・戦う方が大事」と判断している状態です。

その一方で、冷静に考えたり判断したりする「前頭前野」は、強いストレスがかかると働きにくくなります。つまり、怖いと感じているときは、考える力が一時的にストップしてしまうのです。

もし「人は信用できない」「いつ怒られるかわからない」と思いながら育つと、脳はずっと警戒モードのままになってしまいます。これは、過去の経験が脳にしっかり記憶されてしまうからです。

人間の脳は、安全の中にいて初めて開かれます。

安心しているときは、扁桃体の反応が落ち着き、前頭前野がしっかり働いて、考えたり工夫したりすることができるようになります。

だからこそ、「人は誰でもOKなんだ」と信じることは、脳にとって“安全な状態”を取り戻す第一歩になります。
安心できる関係や環境が、脳の防衛モードを解除して、前向きな自分を引き出してくれるのです。

人生が変わった中学生の女の子

ある不登校の中学3年生の女の子が、先生の紹介で相談に来たことがありました。中学生とは思えないほど背が高くて、金髪に染めて、ピアスをつけて、化粧をして、少し反抗的な雰囲気のある子でした。

始めは連れてきた先生が状況を説明するばかりで、女の子はずっと下を向いて口を閉ざしていました。彼女に対して、「今辛いことはありませんか?」と尋ねると、「眠れません」と答えました。

「寝ようと思っても、なかなか眠れないんでしょう?」
すると、小さく「そうなんです」と返ってきました。

「そういう時は、睡眠の導入剤を飲んだほうがいいよ」
そう言うと、彼女はすでに病院に通っていると言います。

「どんな病院に行っているの?」
「精神科に行ってます」
お母さんも調子が悪く、一緒に受診しているとのことでした。

そこで「じゃあ先生に、『眠れないので薬をください』って言えばいいじゃない?」と尋ねました。しかし彼女は、はっきりと「言いたくない」と答えました。

「ひょっとして、その先生はあなたの顔をちゃんと見てくれる?」
「……見てくれない」
「パソコンを打ちながら『どうですか、変わったことはありませんか』って聞くだけじゃない?」
「…はい」

「そっか。じゃあ言えるわけないよね。」
彼女は小さくうなずきました。

そこで連れてきた先生の知り合いの内科の紹介で、睡眠薬を処方してもらえることになりました。

帰るとき、彼女は深く頭を下げて「お世話になりました」とひと言。
その声は、来たときよりずっと柔らかくなっていました。

これが金曜日の出来事です。次の月曜日、先生が驚いた声で電話をかけてきました。

彼女は髪を黒く染め直し、ピアスを外し、化粧を落として登校していました。

私たちは何も特別なことはしていません。存在を認められるだけでも、人は自然に立ち上がることができるんです。

OK-OKの大切さ

「OK-OK」とは、「私もOK」「あなたもOK」という、対等で安心な関係のことです。

相手を変えようとするのではなく、まず“存在そのもの”を肯定する。
このOK-OKの関係の中で、初めて人の脳は安心し、前頭葉が働き出します。
考える力が戻り、決定権を取り戻し、人生の流れが変わっていくのです。

家庭でも、学校でも、職場でも。
私たち一人ひとりがOK-OKの関係を意識できたとき、
社会全体の流れが、少しずつ温かく変わっていくのかもしれません。


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