Story
七日間の、さんぽの物語

白井颯太、26歳。中堅メーカーの事務職。まじめで、気がきいて、気を遣いすぎる。 ある日、先輩に言われたひと言が胸に刺さった。 「白井くんの資料づくりって、もうAIで一瞬らしいよ」。
眠れずに飛び出した深夜の川辺で、颯太は麦わら帽子の老人に出会う。 白いまんじゅうを頬ばり、「ふぉっ、ふぉっ」と笑う、名乗らないおじいさん——のんちゃん。
それから七日間。朝の土手で、まんじゅうと、たとえ話と、やさしい問い。 説教はひとつもないのに、さんぽから帰るたび、颯太の握りしめていたものが、少しずつほどけていく。
颯太の本当の不安は、仕事を失うことじゃなかった。
——「自分で選んでこなかった人生」だった。





