こんにちは。HP管理人のシオです。今回は炎上中の神田裕子氏の著書『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』について、弊社としての見解を述べさせていただきます。
概要
「スーパーカウンセラー」を自称する神田裕子氏の著書『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』が、2025年4月24日に三笠書房から発売され、大きな波紋を呼んでいます。本書では、ASD（自閉スペクトラム症）などの発達障害や精神疾患を持つ人々を「困った人」と称し、動物のイラストを用いてタイプ別に紹介しています。これらの問題を受け、書籍の出版停止を求める署名が集まり、社会的な議論を巻き起こしましています。
神田裕子氏の炎上理由
障害者・精神疾患の方への差別的な言い回し
書籍内の表現には、精神疾患や障害を持つ人々を「困った人」として描写する部分があり、これが差別的だと指摘されています。しかし、このアプローチが障害や精神疾患に対する偏見や誤解を助長し、問題を持ち、「困り感を抱えている」当事者を単なる「自分たちを困らせる存在」として扱うことにつながりかねないと指摘されています。特に、疾患に対する理解が浅いままでの一括りの描写が、精神的な障害に対する社会的な偏見を助長する可能性があるという点が、多くの批判を呼びました。特に、表紙などには「職場にはびこる『困った人』」に「勝つ方法」、「なぜ、いつも私があの人の尻拭いをさせられるのか」といった表現が見受けられ、精神障害を持った方とそうでない方の分断をさらに拡大する可能性があります。
過度な一般化
神田氏の書籍では、発達障害や精神疾患を持つ人々を6つのタイプに分類する「タイプ別診断チャート」が掲載され、それぞれに対する対応策が提案される構成になっています。しかし、これらの分類が過度に一般化されており、個々の特性を無視しているとの批判がなされました。
この本では、「困った人」を個人の特性に関係なく、あたかも一つのカテゴリーにまとめて解決法を提示している部分があります。これにより、異なる背景や状況を持つ個々の人々の違いが無視され、一括りにされてしまう危険があります。例えば、「同僚の功績を平気で横取り」する人をADHD（注意欠陥多動性障害）の枠に入れて、断定口調で解説する表現が見られました。
たとえ同じ障害をもっていたとしても、障害を持っていなかったとしても、それぞれ特有の状況に合わせた支援が行われるべきであり、画一的な解決法で片付けるべきではありません。また、このようなレッテル貼りが行われることにより、「この人は発達障害かもしれない」といった決めつけが助長される可能性があります。なお、一応この本には「レッテル張りに利用してほしいのではな」いと書かれています。
動物のイラストを使用
神田裕子氏の書籍内には、精神疾患や発達障害を持つ人々を動物に例えたイラストが数多く登場します。健常者は人間として書かれている一方で、例えば、ADHD（注意欠陥多動性障害）の方を「サル」のキャラクターで表現されたり、ASD（自閉スペクトラム症）の方を「ナマケモノ」として描写されました。しかし、この表現方法が、精神的に困難を抱える人々を「動物」として扱うことで、その尊厳を傷つけているとの批判が出ました。
著者は、「差別意識は全くありません」と述べています。しかし、特にナマケモノという動物は、現代日本においては、単なる生物学的特徴を超えて、社会通念上「怠惰」や「無気力」の象徴として認識される傾向が強いです。そのような動物を用いた表現が行われることは、差別的と捉えられても無理はありません。また、他の動物に関しては本当に「愛すべき存在」として表現しようとしたとしても、書籍の他の炎上要因が相まって侮辱的に受け取られてしまうでしょう。
イラストレーターは、
当該装画について差別的な印象を受けたというご意見があることを、真摯に受け止めております。ご不快な思いをされた方がいらっしゃること、それ自体が大きな問題であり、表現に関わった一人として深くお詫び申し上げます。私自身、そのような意図を持って描いたものではありませんが、意図の有無にかかわらず、結果として傷ついた方がいらっしゃることの重みを受け止め、責任を感じております
と謝罪を表明しています。
インスタの問題発言
神田氏は、自身のインスタグラムのストーリーにて、
Xで新刊がネガティブにバズってる。申し訳ないけど読む気はない。いつもの通りよ。宣伝効果がすごいことに
と発言しました。神田氏は、炎上していることに対して冷笑的な態度を取り、煽るような投稿をしました。これにより、炎上商法を狙っているのではないかとの疑念が高まりました。
産業カウンセラーの資格は無い
さらに問題となったのは、神田氏が「産業カウンセラー」の資格を持っていると公言していた点です。神田氏は、かつて「産業カウンセラー」の資格を取得していました。しかし、日本産業カウンセラー協会によると、現在神田氏は産業カウンセラーとしての登録はないとのことです。それにもかかわらず、資格があるかのように名乗り続けていたことが発覚し、信頼性に大きな疑問を投げかけています。
日本産業カウンセラー協会の資格は国家資格ではないとはいえ、正式な手続きが必要な資格です。それを著者名と併記し、あたかも資格保有者であるかのように誤解させる表現をしたことは非常に問題です。資格団体は、資格者に一定の信用を背負わせているため、今回のような事態では団体側の責任も問われかねません。
出版社である三笠書房は、すでに日本産業カウンセラー協会からの勧告を受け、販売ページに掲載されていた資格を削除しました。しかし、ただ資格名を削除するだけでは、十分な対応とは言えないでしょう。なお、2025年4月27日時点で神田氏のXには、「産業カウンセラー」の表記が残っています。
出版停止にすべきか
署名が集まっています
SNS上では、本書の出版停止を求める署名活動が行われており、多くの賛同を集めています。署名者は、発達障害や精神疾患を持つ人々への配慮が欠けていると主張しています。
表現の自由との兼ね合い
一方で、表現の自由を尊重すべきだとの意見もあります。表現の自由は憲法で定められている権利ですが、概念が難しいので、ChatGPTの解説を転記します。
たとえ、ある本に
「大したことは書いてないな」
「むしろ良くないことが書かれているな」
と思ったとしても、
それでも「世に出す自由」は守られるべきだ。なぜなら──
① 「何が大切か」は、人によって違う。
誰かには無意味に見える一冊でも、
別の誰かには、人生を変えるヒントになるかもしれない。
その可能性を、誰かの判断で奪ってはいけない。② 失敗する自由も、自由のうちだ。
未熟な表現や間違った考えも、
見て、考え、批判し、より良い表現に育てる土台になる。
はじめから完璧なものしか許されない世界に、進歩はない。③ 「くだらない」を禁じれば、「大切なこと」も言えなくなる。
「これはつまらない」「これは有害だ」と簡単に禁じる癖がつけば、
いずれ、本当に必要な声すら押し殺されるだろう。
自由は、くだらない表現を許すことでしか守れない。だからこそ、
たとえ拙く、未熟で、大したことがないと思われる本でも、
表現の自由は守らなければならない。
このような「表現の自由」という独特の概念があるので、実際に出版停止することは難しそうです。
倫理的にはアウト
しかし、倫理的観点から見ると、差別的な表現や誤解を招くような内容は問題であると指摘されています。人々の権利や尊厳を守るために、社会的に許容されない表現は見逃すべきではないという立場も強くあります。出版停止は難しいかもしれませんが、それは「＝差別を社会が容認している」というわけではありません。
心を痛めたあなたへ
池田からのメッセージ
代表の池田からのメッセージです。
セラピーとかカウンセリングというのは、重要なのは哲学(ここでは人生観のようなもの)です。哲学や歴史を知っておかないといけない。それを、人を変えられるテクニックと思っていたら大間違いです。私は、人を100 ％変えられるとは思いません。分かっている人は少ないけど、誰でも自分を変えられる素晴らしい能力を持っているから。だから私が直したのではなく、自己改善は自分で行うものだと考えています。私はこういう人は相手にしません。
障害があるからといって、その人を差別したり、扱いを変えたりするのは間違いです。障害のある人でも、ない人でも、優しさを持って接するべきです。大切なのは、相手を理解し、敬意を持って接することです。貴方に優しくしてくれる人々に感謝し、その方々から学び、精神的な幸福を手に入れてほしいと思います。
関わる人は、私が決める
神田裕子氏の言動や書籍に対して傷ついた人々へ向けて、私たちはこう伝えたいと思います。
「あなたがどんな人と関わるべきか、どんな言葉を受け入れるべきかは、最終的にはあなた自身が決めることができます。周囲の圧力に流されることなく、自分の価値観を大切にしてください。ぜひあなたのことを気にかけてくださった方のことを大切にしてくださいね。」
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