10代・カウンセリングレビュー 

隆浩井 | 2022年6月23日


          
            10代・カウンセリングレビュー 

給食が食べられない小学6年生女の子

(※2021年10月ごろのレビューになります)


Uちゃんはご両親とお兄さんの4人家族の元気な女の子です。

2016年4月、小学校に入学して間もなく熊本地震を経験。体育館での避難生活や祖父母宅での生活を2ヶ月ほど体験し学校も休校が続きました。

何とか学校が始まりまだまだ気持ちも不安定な中、給食が進まずにいたところ担任の50代の先生から叱られてしまったのです。

それから毎日給食の時間に早く食べるようにと指導され、給食を無理やり口に押し込み、特に苦手なパンなどはこっそりと持ち帰るようになりました。

家では普通に食べられるのに、と心配したお母さんが校長先生に相談したことで、担任の先生の指導は緩和されましたが、それでも給食に対する苦手意識は改善されず、2年3年と学年が進む間、悩みながらもなんとか過ごしていました。

6年生になりUちゃん自身がこの悩みを克服したいと強く思うようになり、おばあちゃんに相談しました。Uちゃんのおばあちゃんは以前から池田のことをご存じで、カウンセリングの話を聞いていたのです。

2021年10月末、Uちゃんはお母さんおばあちゃんと池田のところにやってきました。

いつもはお母さんに一緒にいてもらいたがるUちゃんですが、池田が尋ねると一人で大丈夫だと言ってカウンセリングを受けました。

15分ほど別室で待っていたお母さんとおばあちゃんが呼ばれ、「治ったよ」と言われたとたん、びっくりして3人で涙を流されていました。

次の週からの給食は、最初はまだ不安もあったようですが、うまくいくような気がするとUちゃん自身は言っていたようです。

「私は12歳です。給食も大丈夫です。」
先生から怒られて怖がっていた小さなUちゃんではなく、今のUちゃんの実年齢が12歳であること、
つまり「今ここ」を意識することで、すんなりと食べられるようになりました。

それどころか給食が美味しく感じられ、苦手だったパンも味がするようになりました。

ひと月経った頃にはパンを持ち帰ることもなくなったそうです。

おばあちゃんたちが心配していた修学旅行も元気に参加し、みんなとの食事も楽しくできました。
6歳の頃の心の傷が癒され、長年苦しんだ悩みが消えていったそうです。



【2022年7月現在・その後の経過】
(※初回相談から約半年、現在カウンセリング2回目まで終了したところなのですが、その期間中での変化についての感想となります。)

初回面談とその後のセラピー以来、Uちゃんは通学や給食に関しても問題なく食べられるようになりました。

小6の時、最初にセラピーを受けて以降の一時期は問題なく食べられるようになったものの、中学にあがり環境が変わったことで再び食べることに抵抗感が出てきたようでした。

その後のカウンセリングでさらに原因について聴き取りを進めていくと次のようなことが分かったのです。


小学一年生当時、熊本地震直後の不安と緊張の中給食がのどを通らないことで
「早く食べなさい!」
と学校の先生から怒られた際に、さらに

「あなたが食べるのが遅いせいで他のみんなにも迷惑がかかっている」

と言われたことが心の底からショックだったとのことでした。

子供心に先生は”偉い人”思っていて、その先生からこのような厳しい叱り方をされたことで、小学一年だったUちゃんの心には何年も消えないような”深い傷”が残ってしまったのです。


そのことが原因で、しばらくの間は食べることに抵抗を感じることもあったそうですが、

「怒られて辛くて給食を食べられなくなった6歳・小1の私は傷ついた小さな子供の私。」
「でも今は給食を食べられなくなってしまった頃からこんなに成長して、12歳・小6の私になった。」
「成長した今の私なら、「今ここ」で安心と安全を感じながら給食を食べることが出来る!」

このようにカウンセリングの中で得た「脳のポジティブな回路」を使うことによって、現在は不安や緊張を感じることなく、教室でお友達と一緒に給食をおいしく食べることが出来るようになりました。





※セラピストよりの補足解説

Uちゃんが受けたカウンセリングの中で行なったのは「再決断療法」と「セルフリペアレンティング」という心理療法です。

「再決断療法」とは、トラウマの原因となった場面を再現して再体験する中でポジティブな決断・感情を上書きする心理療法です。

給食を食べられないで叱られていた1年生の時の場面を、「今ここ」で起こっているように再現し、叱られている場面でセラピストが介入し助けます。

時間の概念がない古い脳には「叱られているときに助けてもらった」という体験とポジティブな感情が上書きされるのです。

再決断療法で作られた新しい脳のネットワークを補強してくれるのがセルフリペアレンティング「自己再養育」です。
今の年齢の自分が、自分の中にいる、傷ついた小さな自分を育てなおすという考え方の心理療法です。
Uちゃんの場合は給食を食べる時「私はもう12歳です。給食も大丈夫です。」と心の中で唱えてもらいました。
自分の実年齢を意識することで、「今ここ」の前頭葉にエネルギーが集中し、客観的に問題に向かうことができるようになるのです。

お住まい:熊本県/女性

 

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